研究会について

設立の経緯と研究会の役割について

萩原圭祐超高齢社会を迎える我が国では、国民の2人に1人は癌になるといわれ、癌は国民病という状況になってきています。そういった状況の中で、癌におけるケトン食の臨床効果が近年注目を集めています。私の主催する大阪大学先進融合医学共同研究講座では、日本の基幹病院ではどこよりも先駆けて、2012年大阪大学ゲノム審査委員会に臨床研究の申請を行い、承認後の2013年から、当初は肺癌患者さんを対象に臨床研究をスタートさせました。大阪大学栄養管理室の協力の下、患者さんと共に手探りでケトン食の臨床研究を行ってきました。その臨床効果は、私の予想を大きく上回るもので、2015年の第53回日本癌治療学会学術集会において、初めての報告を行い、以後、大きな注目を集めることになりました。ただし、同時に、私自身は、非常に懸念していることがありました。癌におけるケトン食の取り組みは、大変有望ですが、臨床的なエビデンスが確立したものではありません。その効果発現機序も不明です。また、食事療法なので、一般の方も簡単に行えるイメージがあります。ケトン食という言葉が、独り歩きをして、結果的に多くの癌患者さんを落胆させ、よくある民間療法のようになってしまうのではと危惧していました。そこで、癌診療の第一線の先生方にお願いをして、本研究会を立ち上げることにしました。癌におけるケトン食療法のエビデンス構築、機序の解明を目指し、ケトン食療法を行える医療関係者を育成していきます。患者さんにケトン食療法の正しい情報を発信し、1日でも早く多くの癌患者さんに、ケトン食療法が実践できる環境を整えたいと思っております。様々な方々のお力をお借りして、本研究会を実りのある組織にしていきたいと考えております。ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

代表世話人
大阪大学大学院医学系研究科
先進融合医学共同研究講座
特任教授 萩原圭祐